2005年09月17日

ただいま(後篇)

(前回までのあらすじ)
なんとか金沢行きの深夜バスに乗ったゾ!

さて、僕が予約したこの深夜バス、往復8500円のウンコバスだけあって、車内は狭く、陰鬱な雰囲気です。しかも、 「おしゃべり・携帯電話の使用・ウォークマンの使用はやめてください」 とかいうアナウンスが流れちゃったので、本格的にすることがない。正直、携帯から「今僕は、 金沢行きの深夜バスの中からこの日記を更新しています。トンネルを抜けたらそこは金沢でした」とかやりたかったのに。 もしくは、バスの中でみんなで自己紹介とかして、伝言ゲームとかやっちゃったりして、「今度はみんなで東京で会おうね!」 とか言ってワイワイ盛り上がりたかったのに!

しょうがないので寝ることにします。 隣であぐらをかきながら寝ているアキさんがとっても邪魔でしたが、それでもグーグー寝ていると、 金沢に到着。わぁ、クソ暑い!お腹をすかせた僕たちは、赤とオレンジの見慣れた配色の看板に飛び込み、早速朝マックとしゃれこみます。 やっぱ金沢のマックは美味いね。
しみったれた朝食の後、今回僕たちを泊まらせてくれるK子さんと合流し、彼女の家へ。すぐさま昼寝。

昼過ぎに目覚めた僕たちは、豪雨に降られながらも街を徘徊します。金沢って予想以上に栄えてました。 香林坊っていう繁華街に行ったんですが、 109とかあるんですよ? 22年間東京に住んでる僕でさえ、渋谷の109にも行ったことが無いっていうのに。あとバスがずいぶん進化していて、 SuicaみたいなICカードも使えるし、バス停の電光掲示板には「○○行のバスがまもなく到着します」 とか出るんです。こりゃ便利。
でもちょっとわき道に入ると、武家屋敷とか落ち着いた雰囲気の料亭とか狭い路地にぶつかるんですよ。 この一見ミスマッチな町並みが面白かった。街中を流れる大きな川もドカドカとマイナスイオンを放出し、河原を歩きたい気分にさせてくれます。

夜になると、 マイクルさんがやたら車高の低いBMWを駆って琵琶湖から参戦。 僕たちの行動範囲を一気に広げてくれます。
その夜に食べたクルクル寿司はおいしかったなぁ。 サンマ大トロが印象に残っています。先週、 TAIWANさんが企画した築地シースーゴチバトルに参加したんですが、 僕そこでも大トロを注文したんですよ。だってその時は僕、大トロ童貞だったんだもん。
でもね、正直あんまりおいしくなかったんですよ、そこの大トロ。たしかに大いにトロトロしてるんですけど、血の生臭さがかなり残っててさ。 僕以外のみんなは「えっ、なにこれ!?おいしすぎるよ!!」みたいな激しいリアクションをとってたんで、 言い出せなかったんですけどね。

でも金沢・まいもん寿司の大トロは違った。生臭くなかった。 富の象徴である大トロに幻滅しかけていただけに、嬉しい体験でした。

さて、夜も更け始めると、誰からともなく「肝試しをしたい」という声があがりました。 いいですね〜、夏も終わりのこの季節、肝試しにはもってこいです。金沢ってやたらとお寺が多いですし。

そこで僕たちはネットを駆使して、金沢の心霊スポットを探し始めました。
まず最初にひっかかったのは卯辰山という山。 ここには某大学の医学部の解剖実習に使われた遺体が埋葬されているらしく、なんか怖そうです。距離も手ごろだし、早速出発します。

結論から言うと、すごく期待はずれでした。肝試しというより、カップルの野外プレイを邪魔しに行っただけだった。 なんか煌々と街灯が光ってるし、人も多かったし、こんなんじゃ肝は試せないよ!

落胆した僕たちは、さらにネットで心霊スポットを探し回ります。2ちゃんねるのオカルト板まで出向き、情報を収集しまくると、 一つの場所が浮かび上がってきました。

野田山墓地

ここはいろんなHPに紹介されているスポットで、利家を始めとした前田家ゆかりの者たちの墓所なんですが、 あり得ない体験談が大量に書き込まれていました。
参勤交代の霊が現れたとか、首なしのランナーが走ってきたとか、火の玉が出たとか、 もう馬鹿なんじゃないかっていう霊がたくさん出没するらしいのです。まぁ確かに参勤交代ってとっても過酷な行事ですから、 参勤交代にまつわる霊ってのもいそうですけど、それにしてもなんで墓地に参勤交代しにくるんでしょう?行くんなら金沢城に行けよ!

どうせ昨日の卯辰山と同じようなもんでしょ、てかむしろ参勤交代って一回見てみたいなぁ、と舐めきって出発した僕たちですが、 甘かった。甘すぎた。
僕たちは車に乗って墓地に入っていったんですが、入り口からしてあり得ない怖さ。等身のおかしい巨大な地蔵が6体並び、 その正面には墓石の上に座る坊さんの像が。入り口を過ぎるとその奥は明かり一つ無い真の暗闇です。ここは山全体が全て墓所なので、 見渡す限りの闇・闇・闇。車一台がギリギリ通れる細い道の両脇には大小さまざまの墓がぎっしりと並んでいます。

細い登り階段に突き当たった僕たちは、迷わずUターンしました。誰も車から降りてこの先に歩いてみようなんてことは言い出さなかった。 というか会話自体が無かった。

墓地入り口まで戻ってくると、やっと一息ついて、車から降りてタバコに火をつけます。これで僕も少し落ち着いたんですけど、 それでも動悸はおさまらないし、なんか内臓が重いんですよ。あまりの恐怖に吐きそうになってました。

しかしなぜか再び車で墓所に入っていく僕たち。僕はこの恐怖を克服したいと思っていました。
正直ね、こういう肝試しとかは結構自信があったんですよ。所詮、恐怖を作り出してるのは自分自身の意識に過ぎない、 本当に怖いのは自分の想像力なんだ!って冷静に分かってるつもりでしたし。
それがこの有様ですから、なんか悔しかった。悔しくて再び墓地に入ってしまった。今は反省している。

結局二回目のアタックも失敗に終わりました。車で階段の手前まで行って即Uターンです。恐怖に打ちのめされてしまい、精神(こころ) が折れてしまった僕らは、豪快に道に迷いながら帰りました…。

翌日。
僕らはまだあきらめていませんでした。まずは日中に野田山墓地に行き、全体を把握するとともに作戦を練ろう、ということになりました。が、 マイクルさんと僕が「A few minuteだけ寝ようか」 とか言いながら二度寝してしまったので駄目だった。

それでも金沢城まで行き、城の外に追いやられている前田利家公の像に向かって「今晩また伺いますので、どうかお手柔らかに」と手を合わせ、 コンビニで食卓塩を買い、スーパーで線香と懐中電灯を買い、さらにK子さんの家から粗塩と「前田利家公」という日本酒を持ち出し、 奥の手としてマイクルさんに秘密のお経を伝授してもらって、準備万端で墓地へと向かいました。この狂った重装備を見ても、 僕らがどれだけ怯えていたのか、容易に想像がつくと思います。

三度目のアタックは、徒歩で。徒歩でも全然行ける距離だったんですよ、野田山墓地ってのは。マイクルさんのBMWの車高だと、 墓地の上り坂の砂利道では下を擦ってしまいますしね。

墓地が近づいてくるにつれ、前回の内臓がすくむような感覚が戻ってきます。でもさすがに3回目ともなるといい加減慣れてくるみたいで、 僕は機械的に足を交互に前へと出し続けました。運動したときとか暑いときとは違う種類の汗が噴きでてきて、つないだ手がベトベトしてたけど、 とりあえず階段を上りきり、昨日までの自分を超えた僕。懐中電灯で立て札を照らしてみると、「この先は霊域につき、 立ち入りを禁じます」とのこと。そりゃそうだな…。
利家公はこの先に眠っていたんですが、僕らは泣く泣く霊域を通り過ぎ、帰路につきました。

てか、そこを抜けると、街灯ギンギンで舗装バッチリの駐車場が広がってて、ダベっている若者とかいたりして、全く怖くなかった。 前田家墓地が怖さの最大値地点だったんですねぇ。

結局幽霊は出ませんでしたけど、久しぶりに味わったこの恐ろしさ、とても貴重な体験でした。すこし謙虚な人間になれた気がします。 恐怖に屈服したという心地よい敗北感、そしてその恐怖を克服したという充実感に包まれて、僕たちは夜道を歩きました。
でも肝試しって幽霊とか出ない限り、必ず不完全燃焼で終わりますよね。そういう意味ではちょっと物足りない気持ちだったのです。

さて、翌日。
マイクルさんは翌日から合宿ということで、夕方に滋賀へと帰り、僕とアキさんは夜行バスに乗るために荷物をまとめ始めました。 時刻は21時50分
たしかバスは23時ぐらいに出発だったかな、まぁ余裕を持って集合場所である金沢駅に行っとくか…、 と思ってバスのチケットを見ると、バスの出発時刻は22:00

は?

やってしまいました。あと10分で金沢駅まで?無駄無駄無駄ァッ!おそらく現在の科学技術では、 どうやってもこの出発時刻に間に合うことはできなかったでしょう。タクシーだろうがヘリコプターだろうがスペースシャトルだろうが。 時を止めるぐらいしか打つ手はありません。そうか、本当の肝試しはこっちだったんだね!

おそるおそるアキさんにその事実を伝えると、当然、はぁ!?という叫びが返ってきます。もう本当に アキさんに殺されるかと思いました。
でも案外彼女は冷静だった。すぐさまバス会社に連絡したり、次のバスを調べたりしてた。僕の方はというと、まぁ1泊延びてもいっか… と速攻で諦めていたんで、ついていけなかった。女性ってすごいね。

そうこうしてる間に、僕らが乗るはずだったバスの乗務員から電話がかかってきて「EBAさん乗らないでいいの?」 と聞かれたんで、僕は「15分ぐらい待ってくれませんかねぇ?」 というなめくさったお願いをしてみたんですが、当然駄目でした。てか15分でも行けないしね…。

結局、次のバスのキャンセル待ちをするために金沢駅まで走ったりしてみたんですが、 僕のように時間を間違えて乗り過ごす身体障害者が都合よく二人もいるはずもなく、本日の帰宅は不可能ということになりました…。
でも、翌日朝のバスを無事に予約できたので、駅まで走ったかいはありましたよ。 そのとき所持金数百円だった僕は、アキさんにお願いしてバス代を貸してもらったんですけどね…。バスの時間を間違えるわ、金を借りるわ、 考えうる限り最低の男でした、僕は。へへっ。

翌朝。
僕らはやはり朝マックしてから、高速バスへと乗り込みました。朝マックから始まり朝マックで終わる旅、ってのもなかなかオツなもんでしょ? 新しく申し込んだこの高速バスは、2倍近いお値段がするだけあって、とても快適でした。
「俺がバスを乗り過ごしたおかげでこんなに快適なバスに乗れるなんて、君はとてもラッキーだね」
と、アキさんに言ってみたら、すごい目つきで睨まれました。当たり前ですね。

こうして僕は、肉体的・精神的・金銭的に深い傷を負って、クソ暑い東京へと帰りつきました。疲れた…。

でも金沢ってのは本当にいいところだったなぁ。風光明媚だし、美術館も面白かったし、魚と加賀野菜がおいしかったし、 道行く女の子がみんな可愛く見えたし!地方都市の良さを再認識する旅となりました。やっぱり大学院は地方の国立にしようかなぁ…。

K子さん、マイクルさん、アキさん、本当にお疲れ様、そしてありがとう。そしてごめんなさいでしたぁぁ

この記事へのコメント
おかえりなさい。楽しそうでなによりです。
けど、ユーの舌がおかしいのか、ミーの舌がおかしいのか、検証するために大トロ食いに行こう。
Posted by TAIWAN at 2005年09月17日 01:22
>>TAIWAN
「ミーの舌」じゃなくて「アイの舌」だろ?許されるのはせいぜい「マイの舌」までだよ。ノック語を勉強して出直してこいや!
てか俺は本気で築地の大トロはたいして美味しくないと思ったよ?
Posted by EBA at 2005年09月17日 02:45
うん、だからうまい大トロを探しに行こう。
Posted by TAIWAN at 2005年09月17日 14:35
お疲れ〜。僕が帰ったあとにそんなドラマがあったんだね。
あと僕の中ではなぜかノック語のK君と金沢旅行したような思い出になっちゃってます!
Posted by マイクル at 2005年09月17日 20:29
うぅ〜いい思い出,いやな思い出が次々と思い出されました。
でも,何だかんだで今では笑って話せるようになってよね?!

つーかお金を2倍にして返してもらえたら,本当にEBAの株が急上昇だよ!!
Posted by あき at 2005年09月18日 00:23
>>TAIWAN
じゃぁ探しに行こうか…。君のママと!
正直ワタシ今お金無いアルヨ!

>>マイクル
うん、君の言うとおり、琵琶湖に行っときゃ良かった。
障害者のマネしてたらリアル障害者になってしまったみたいだよ…。
このままではワイワイ自転車に就職できないよ!

>>あき
今では笑って話してるよ。
つーかお金を2倍にして返してしまったら、本当に笑って話せなくなるよ!!500円玉の4年ローンとかでいい?
Posted by EBA at 2005年09月18日 15:38
うん。
毎日500円ね。
Posted by あき at 2005年09月21日 02:30
>>あき
その返済計画だと、総額73万円になってしまうんだが…。
そんな法外な利子、闇金融でさえつけていないよ!
しかしそう考えると、500円玉貯金ってかなり貯まりそうだな。
Posted by EBA at 2005年09月22日 02:30
だろ?!ほらみろ!
Posted by あき at 2005年09月25日 23:44
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